2016年1月23日土曜日

きょうのひと:ベーグル


引き続きパリ.。
出来事を列挙するだけとか雑感述べるだけなのもアレなので物語風にしてみました。
読みやすくなってるとよいのですが。。





 一風堂がまだ開店していないということにガッカリしていたところ、パリ在住の友達から「ラーメン屋なら博多ちょうてん美味しかったよ」と助言をもらい、今回の旅の昼飯は「博多ちょうてん」一択になった。ちなみにオペラ座界隈で有名なラーメン屋はあと「なりたけ」がある。
 入店して席に座ると隣のおじさんがちょうど箸を置いたところだった。初老の白髪、知的な顔立ちの人であった。時刻は14時半少し前。メニューを見て通常のとんこつにすべきか辛口のとんこつにすべきか散々悩み、悩みぬいた末に辛口を注文してほっと一息、したのもつかの間、突然おじさんが話しかけてきた。
「これゴマどうやって出すのかな?」
 持っているものを見るとごますり器だった。確かにわかりづらいよねと思いながら、ここ回すといいよと教える。ごまを手に少量出したおじさんはそれを口にしてから、イマイチという表情。その表情のままに、日本人かい? そうですよ、答えるとおじさんは一度頷いた。ヨーロッパはごま、あまり使わないんじゃないですか? 聞けばおじさんは答えた。
「ヨーロッパでもゴマは食べられるのだけどね、何に使うかと言えば、ベーグルだよ。ベーグルは知ってる?」
 この「ベーグル」、フランス語発音だとわたしの耳には「ブグル」と聴こえてしまったので何のことだか始めわからなかった。わからないと告げると、その「わからない」をきっかけにおじさんはベーグルの歴史を教えてくれた。
「ベーグルの形状はドーナッツみたいなものなのだけどね、(ケータイで画像検索しながら)表面によくごまを振りかけるんだ。今ではすっかりニューヨークの食べ物という認識になってしまっているけど、(画像をわたしに見せつつ)元はユダヤのパンで、だからヨーロッパでも広く一般的だったパンでもあるんだよ。第2次世界大戦でユダヤ人の多くがアメリカに移住したから……理由はわかるかい? (頷く)そう、特にニューヨークに多くが住んで、彼らが日常的に食べていたベーグルが一般流通して、またフランスにやってきたわけだ」(要約)
 なるほどね、と納得。面白い話をありがとうと言えばおじさんは少し笑った。それからはたわいもない会話で、フランス語が難しいとか、フランスの生活は外国人には大変かもねとか、そういった外国人と現地人のよくある会話だった。
 わたしの注文が来たところでおじさんは席を立つ。話聞いてくれてありがとうねとかれは言う。ラーメンは少しだけ残されていた。



2016/01/06に出会った人。



おまけ。
博多ちょうてんパリ支店のラーメン。美味しくいただきました。

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