2016年2月3日水曜日

きょうのひと:ボンボン

パリ引き続き。



 だいぶ日も落ちた六時頃にケブランリー美術館に行くことにした。というのも企画展に興味があったからだった。二〇一六年一月時点での企画展は「セピック」、パプアニューギニアの美術品展示だ。元々この美術館が気に入っているというのもあったが、事前に購入していたアート系の雑誌にこの企画展の紹介があり、それがひどく興味をそそる内容だったのである。閉館時間を考えるとぎりぎりの到着だったが、楽しみが上回って足取りも軽く入口に向かう。
 ここでは来館者は建物に入る前に比較的広い庭をまずは歩くことになる。以前私がここに来たときは、その庭に入るところまでは特にセキュリティがなかったように記憶しているが、今回は庭の手前にもセキュリティゲートが設置されていた。去年一一月のテロの影響を感じる。
 ゲートには二人のガードマンがいた。一人は席に座った恰幅の良い人物で、もう一人はその横に立って彼と談笑している、中肉中背だ。時間が時間なのもあって暇そうにしていた。私が近づくと二人ともこんばんはと言う。私も返事をして荷物を出した。エコバックで移動していたので出すものはそれだけだ。中身を見せてと言われてクチを開いてチェック用のテーブルに置く。すると座っているガードマンが一言、これは何、と。確認してみればアジアスーパーで購入した日本のお菓子が入ったビニール袋だった。ちょっとしたスナックだったので「あ、ボンボン(飴やグミの総称としての「お菓子」)だよ」と返事。それを聞いた二人は突然の神妙な顔。座っている方が言う。
「ボンブ(爆弾)だって?」
 早い話が聞き間違いだ。ああ、違う、ボンボンだって、と言えば、またボンブ? と返事。違う違う、ボンボン、ボンブ? ボンボン、ボンブ! 根負けして「日本のガトー(お菓子の総称)だよ!」と笑いながら言えば二人も笑いながら「ボンボンね!」と言った。立っているほうが、語尾のボンをもう少しハッキリ言ってみなよ、と言うので真似して言ってみれば悪くないよというお返事。座っているおじさんはビニール袋を少しズラして中身がお菓子なのを確認してから、ああ、と嘆息してそれを戻した。ケブランリー楽しんでねと言って荷物を返してくれる。二人は帰り際にもいてバイバイと言ってくれた。
 セキュリティの厳しさにパリの不安を感じ取ったものの、人々の生活は何も変わらないな、そう思った夜だった。


2016/01/06夜に出会ったひと。

おまけ
ケブランリー美術館の庭。
夜になるとライトアップがなされます。天井に反射するひかりがきれいです。

0 件のコメント:

コメントを投稿